社交不安改善コラム

対人恐怖症克服記8 男塾からの脱出

高校1年生の私は赤面恐怖症と笑顔恐怖に悩み、対人恐怖に片足を突っ込んでいました。ある冬の早朝、川沿いの人気のない道で女子高生が立っているのを発見し、緊張しながら通り過ぎようとしました。

すると、その女子高生が私に「これ…」と声をかけ、何かを手渡してきたのです。可愛らしい彼女の笑顔と突然の出来事に私は驚き、脳がパニック状態に陥りました。

女子高生は恥ずかしそうに、その場から去っていきました。

 

異世界へようこそ

脳の処理がおいついていませんでした。

ちょっと待てよ!
何が起こったんだ!
落ち着け!

自分に言い聞かせました。そして渡されたものをドキドキしながら確認してみました。それは、手のひらに収まる、小さなピンク色の封筒でした。女子高生らしい小さなシールでデコレーションされていました。

およそおそらく、それは人生ではじめてもらった女性からの「かわいいもの」でした。10センチにも満たず、紙飛行機のように軽い紙なのに、14年間生きてきて最もうれしいものでした。

私はあっけにとられ、1分近く硬直していました。そして、ひとまずそれを鞄にそっとしまいました。あまりにも驚天動地だったので、心の準備が必要で、すぐに中味を見ることができませんでした。

またもしかしたら女子が物陰で私が空ける姿を見ているかもしれない…焦っているのがわかったら恥ずかしい…という思いもありました。

ベルしてほしい

私は混乱しながらも、歩き始め、女子高生ゾーンを通り抜け駅に着きました。そして人が少ない場所につくと、合格発表を見る受験生のように、手紙の中味を読みました。

 

突然ごめんね。びっくりしたかな?
明星高校のひとだよね?
いつも見ている、ベルしてほしいよ

あすかより

 

手紙は、女の子らしいまるっこい文字で書かれていました。当時はやっていたポケベルの番号も書いてありました。どうやらその女子は、赤面症で、無表情な私を気に入ってくれていることがわかりました。

ボーリング大会で、女子から嘲笑されていると思い込んでいた私は、あまりのギャップに舞い上がってしまいました。

異世界転生

押忍男塾!で育って女人禁制を不本意に貫き通していた世界が

無題

バラのような世界に迷い込んだような気持ちになりました。

画像3

私の容姿は並み以下です。赤面症でシャイでイケてない男子でした。それがこんなにかわいい子から手紙をもらえるとは・・・現実感がありませんでした。

私はその手紙を何度も読み返しました。そして女子高生から手紙を渡すシーンを何度もポジティブ反芻しました。そのたびに脳が喜んでいるのがわかりました。

しかし、この女子高生とのやりとりにより、対人恐怖症はより深刻度を増していくことになります。

 

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・川島達史 1981年生まれ
・社交不安症専門カウンセラー
・公認心理師 精神保健福祉士
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