社交不安改善コラム

対人恐怖症克服記35 肥える対人恐怖症男

対人恐怖症で大学生活に馴染めなかった私は、学歴や容姿へのコンプレックスがまとわりつき、自己否定の毎日でした。そこで一発逆転を狙い、橋本さん(彼女)と一緒に会計士試験にチャレンジすることにしました。

専門学校に通い始めると生まれて初めて10時間勉強できるようになり、持続した努力ができるようになっていきました。一方で10時間も勉強すると、様々な問題が同時に起こっていきました。

 

容姿が化け物に

・おかず強奪
水道橋はグルメの町です。唸るほどおいしい定食屋がわんさかあります。橋本さんと私は、厳しい勉強の合間にこれらの定食屋をめぐるのが唯一の楽しみとなっていました。唐揚げ定食、とんかつ定食、アジフライ定食、脂っこいものばかり食べていました。

さらには私は「ライスお代わり自由」な店が好きで、ご飯をお代わりしないと損した気持ちになるので、何倍もご飯をお代わりしていました。

一方で、パートナーである橋本さんは食べるのが遅く、かつ小食なので、いつまでたっても昼食が終わりません。おかずもよく残していました。そこで、私は彼女のおかずを、しばしば強奪することをルーティーンとしていました。運動もまったくしないので、ブクブクと太ってしまい、62キロの体重が82キロ近くまで増えてしまいました。

 

・毎日同じ洋服
会計士受験に専念すると、もともとなかったおしゃれへの情熱が、よりなくなくなっていきました。さらには橋本さんという彼女をゲットしたことに胡坐をかき、私は、ほぼ毎日同じ服を着ていました。

当時よく着ていたのは、青のパーカーでした。体型も隠れますし、ふわふわとした感触が気に入っていました。私は青のパーカーにジーンズで毎日、専門学校に通っていたため、「青」というあだ名がつけられていました。

 

・ザンバラカット
美容室に行くお金も節約したかった私は、髪を自分で切るようになりました。鋤ばさみを手に取って鏡の前に立ち、長さを整えようとするのですが、左右のバランスが取れず、ボサボサのザンバラ状態になります。後ろは見えないので適当に切るしかなく、長い部分、短い部分がまだら模様になっていきました。

普通は、彼女である橋本さんが、この辺を指摘すべきなのですが、彼女は彼女で共依存の気質があったのか、私は崩壊していくことによって独占できるというメリットもあり、何も突っ込みを入れてきませんでした。

 

・対人恐怖の悪化

もう1つの弊害は対人恐怖症がますます悪化していったことでした。1日10時間勉強しているような状態でしたので社交的な会話はほぼありません。橋本さんと会話をする時間も減り、話をするのはランチの20分ぐらいです。

会話の内容も勉強の話題のみで、雑談とは程遠いものでした。ほとんど話さないので、声がどんどん小さくなり、表情がさらに硬くなり、私は人間性をますます失っていきました。私の顔からは表情が完全に消失していきました。

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これらの悪材料が相乗効果を起こし、私の容姿は崩壊し、崩壊するどころか不気味な様相を呈し、専門学校の中で、危ない奴ランキング3位に入る男になっていました。これは後で知ったことですが、専門学校の中では、アイツは心の病気だと言われたようです。

 

通学に伴う苦痛

この頃、最も苦痛だったのは大学への通学でした。単位を取るためには、大学へ行く必要があります。大学はキャンパスライフを謳歌している学生で溢れかえっています。

おしゃれな服
おしゃれな髪型
楽しそうに談笑
堂々とした立ち振る舞い

彼らのグループはいつも明るい雰囲気で、話し声や笑い声がキャンパスに響き渡っていました。その笑い声を聞くたびに私は、みじめな思いになりました。

どうした?コミュ障
ブクブク太ってやがる
もてないんだろうな~
人生つまらなそう

その笑い声が変換され、私をあざ笑っているかのように聞こえていました。

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通学に伴う苦痛

たまにクラスメイトに会うと、

おお~元気?何してんの?

と声をかけてくる輩がいましたが、私は

ああ・・・別になにも・・・

とそっけなく返し、またその言動には攻撃性も含まれていました。クラスメイトはぎょっとした表情になりました。何人か私に声をかけるクラスメイトはいましたが、私の禍々しい負のオーラに圧倒され、次第に声をかけられることも少なくなっていきました。

私にとって彼らの充実したふるまいは、自分をよりみじめな存在にする、比較対象でしかなく、同じ空間にいることが苦痛でしかありませんでした。そのうち大学生を見るだけでイライラするようになっていきました。

そして、お前ら見ていろ!会計士になって見返してやる!とゆがんだ感情を膨らませていきました。

 

時は進み、大学3年生の頃になると、対人恐怖が悪化する屈辱的な事件が起こります。この屈辱的な事件により、私は大学生活の最下層にいることを思い知らされるのです。

 

 

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・川島達史 1981年生まれ
・社交不安症専門カウンセラー
・公認心理師 精神保健福祉士
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