思春期の頃から対人恐怖を悪化させていた私は、一発逆転を狙い大学2年で会計士試験に挑みました。しかし、無残に敗れてしまい、対人恐怖症が重症化していきました。大学4年の秋から本格的にひきこもりはじめ、そのまま半年が過ぎました。
無残な化け物
引きこもり生活では、外出することがほぼなくなっていました。運動と言えば、親がいない隙を見て、食糧調達をすべく階段を上下する程度です。体を動かさないので、筋力は低下し、そのくせストレスでご飯は食べるので、消化しきれないカロリーが、体に蓄積していました。
腹に肉がたまると呼吸がうまくできなくなってきて、ゲップを頻繁にするようになりました。さらには太もも同士がぶつかるようになり、歩くたびにブルブルと共鳴するようになっていました。
毛という毛は伸び放題で、髪、髭、眉、鼻毛が顔中を覆っていきました。洋服を変える気力もなく、2週間同じ服を着続けるという時期もありました。4年前に大学に入学する前は、新しい出会いに期待を寄せて、それなりに容姿に気をつかっていましたが、もはや誰だかわからないような無残な化け物へと変貌していきました。
つかめる藁を失う
さらに私には、最後のよりどころを失う時期になっていました。それは大学の卒業時期が来てしまったということです。それまでの私には
「大学生」
という肩書がありました。沼にはまって落ち続けていましたが、この頼りない免罪符に捕まることで、ギリギリのところで水面に顔を出せている状態でした。
しかし、大学を卒業してしまうことで、ついに
「無職」「ニート」
という肩書に昇格をしてしまったのです。まさか自分がこのような恥ずかしい状態になるとは夢にも思わず、夢であり、嘘のような感覚がありました。ですが、逃れられない、リセットできないのは、何度確認しても現実でした。
つかんでいた藁が鎖り、もはやつかめるものがなくなり、底なし沼にズブズブと落ちていくような感覚に陥りました。沼は暗く、もがいても浮かぶことはできません。これまでは光がぎりぎり見えていましたが、沼の底に沈むことで完全に光を失ってしまいました。
死を意識する
沼のそこは真っ暗でした。ついにゲーム―オーバーになってしまったと感じました。ここから人生を好転させるなど、到底できないと感じました。
会計士に落ちた
親に金を無駄に使わせた
いまさら勉強しても間に合わない
大学も卒業してしまった
無職になってしまった
見てくれは化け物
社会のお荷物
家族のお荷物
もう二度と再浮上はできない
こんな人生、意味なんてあるのか
いやない
意味がないなら生きても無駄
死んでも生きていても同じ
「死ぬ」「生きる」
という2つの選択肢ぐるぐると頭を回り始めました。
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・川島達史 1981年生まれ
・社交不安症専門カウンセラー
・公認心理師 精神保健福祉士
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