社交不安改善コラム

対人恐怖症克服記50 ダメ人間!は無根拠

対人恐怖症で引きこもっていた私は、大学を卒業してしまい、「無職」「ニート」なりました。さらには食事量の増加で体重が増え、容姿が崩れ、「無残な化け物」と化していました。

自己価値が極限まで低下すると、「生きる意味」がわからなくなりました。生きる意味とは何か?私はその答えを求めて、閑古鳥が鳴いている近所の古本屋に行きました。そこである哲学の本が目に留まりました。それはソクラテスの生涯を追った本でした。

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ソクラテスのやばい習慣

ソクラテスには、やばい習慣がありました。それは「質問しまくり論破する」ことです。ソクラテスは、遠慮が全くありません。知識人、権力者、その辺の通行人、だれかれ構わず、

根拠はなに?
証拠はあるのか?
なぜそう言い切れるのか?
それってあなたの感想ですよね?

と論破しまくりました。最終には、権力者からウザがられ、

国の神々を信じず、別の神を信じた
若者を悪い方向に導いた

として訴えられました。そしてソクラテスのすごい所は、裁判にかけられても一切、自分の主張を曲げなかったのです。自分の主張をすれば、死ぬことがわかっていたにも関わらずです。

ソクラテスは、問答法が市民の無知を暴き、真理を追求するために必要不可欠であり、自分の役割は「アテネの目覚めを促すアブ(馬バエ)のような存在」だと主張しました。この比喩は、怠けた馬(アテネ市民)を刺激して目覚めさせるための存在であると説明しています。

ソクラテスは、最終的に死刑になってしまいました。その手法は、毒杯を飲むというものでした。弟子がいくら諭してもソクラテスは頑なに、真理を曲げるぐらいなら、毒杯を飲んで死刑を受け入れるという選択をしたのです。

この本質を追求する質問法は「問答法」と呼ばれて、後世に伝えられていきます。

 

ソクラテスと無知の知

ソクラテスは「世の中の主張には大した根拠がない」ことを重視していました。そして、何もわかってもないのに、わかったようなふりをせず、知らないことを知らないと素直に認めることが大事であると主張したのです。これを「無知の知」と言います。

ソクラテスは、世の中で多くの人々が自己の知識や理解に過信し、確固たる根拠なしに意見を述べることに警鐘を鳴らしました。そのため「自分は何も知らない」と認めることで、本当の知識に近づくと考えました。

「無知の知」を実践すると、自分がどれだけ多くのことを知らないか、または誤解しているかを素直に認めることができます。自分に対しても正直になり、思い込みや偏見から解放されます。自分がどんな感情や思考を持っているのか、どのような価値観や信念が自分の行動に影響を与えているのかを振り返ることで、自己認識が深まります。

「問答法」
「無知の知」

この2つは私の人生観をひっくり返しました。

 

ソクラテスとの問答

私はソクラテスが目の前にいるような気持ちで討論をしてみました。当時の私は視線恐怖を持っていました。視線恐怖がある自分は異常だと考えていました。しかし、ソクラテスは以下のように訴えるのです。

(ソクラテス)
確かに君は視線恐怖で悩んでいるようだが、
視線恐怖だとどうして異常だと感じるんだね?

(私)
はい。異常だと思います。
視線恐怖だと相手からキョドって見えて、
おかしな人間であると思われるからです。

(ソクラテス)
相手からみるとキョドって見えることが
なぜいけないことなのか?

(私)
キョドって見えることは
恥ずかしいことだからです。

(ソクラテス)
キョドると恥ずかしいと
言い切れる根拠はあるのかね?
絶対的な根拠があればそれを出してみなさい 。

(私)
・・・・絶対的な根拠・・・
よくわかりません・・・ 。

(ソクラテス)
よくわからないのだね。
では君は絶対的な根拠のないことに
ついて悩んでいることに
なるのではないかな?

キョドることは恥ずかしい・・・
誰が決めたのかね?

 

 

自己否定が減る

私は当時、どもりと、視線恐怖、表情恐怖、 社会不安障害を持っていました。社会的な立場はニートでフリーターで、自殺願望が出てきていて、救いようのない状態になっていました。

 

私は日々自分を否定していました

会計士に受からない恥ずかしい男
デブで気持ちが悪い
親のすねかじり
生きる価値なし

しかし、この否定には、実は絶対的な根拠などなかったのです。私は「無知の知」を実感として感じました。私は知ったかぶりをして、自分自身を全力で否定していたことに気が付いたのです。

ソクラテスの考えを知ったからといって、確かに社会的な状況が改善するわけではありませんでした。私は依然として、ニートであり、引きこもりであり、視線恐怖でした。

しかし、「全力で自分を否定する」という心の癖がソクラテスのおかげでなくなったのです。それは私にとって大きな一歩になりました。

皆さんにもこれだけは言いたいです!
今自己否定しているあなたの考えに、
絶対的な根拠はありますか?

 

はっきり言います。
絶対的な根拠はありません。
だからあなたはあなたを
そこまで否定してなくても良いのです。

 

興奮して脱線してしまいました…
私はソクラテスの考えに触れ、
哲学にますます哲学にのめり込んでいました。

 

 

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・川島達史 1981年生まれ
・社交不安症専門カウンセラー
・公認心理師 精神保健福祉士
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