社交不安改善コラム

対人恐怖症克服記59 視線恐怖症の治療

重度の対人恐怖症になり、引きこもりとなった私は、人生ではじめて心理療法の1つである認知行動療法を勉強をしはじめました。その結果、醜形恐怖症が軽くなり、手ごたえを感じていきました。心理療法に効果があると実感していった私は、次に「視線恐怖症」の治療にチャレンジすることにしました。

 

視線恐怖症の苦しみ

視線恐怖症は、人から見られたり、目が合ったりすることが極度に怖くなる症状です。視線恐怖は高校2年生ぐらいから始まり、6年ぐらいかけて重症化していました。

ピーク時は、目があうと、バチっと体中に電流が走るような感覚になり、汗が噴き出すようになっていました。そのため私は人と全く目を合わせることができなくなっていたのです。

特に真正面に人が座ると、どう視線をあわせていいかわからないので、徹底的に回避していました。

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睨まないでくれる?

視線恐怖が重症化した致命的な出来事が、大学3年の頃にありました。当時、会計士試験で疲れ切った私は、憔悴した顔で駅前を歩いていました。このとき、前方にティッシュを配っているお姉さんがいました。お姉さんは古き良きヤンキー感を醸し出していました。

お姉さんは、私が前を通ろうとすると、ティッシュを渡そうとしてきました。しかし、私は些細なコミュニケーションでさえ苦痛になっていたので、無視して歩いていきました。

 

すると背後から

睨んでんじゃねーよ

と怒られたのです。ティッシュを取らなかったのは確かに申し訳なかったですが、真顔で歩いただけで、睨んだつもりはまったくありませんでした。

 

私はそれ以来、

僕の目は攻撃的に違いない・・・
目が合うと、睨んでいると思われる・・・
目を合わせないようにしなきゃ・・・

という確信を深めていました。

 

視線恐怖が軽くなる

私はこのような出来事を思い出しながら、認知行動療法を試していきました。すると私には「過度の一般化」という思考の歪みがあることがわかりました。過度の一般化とは、1つの事実から強引な推測をしてしまうことを意味します。

私は、過度の一般化に気がつき、さっそく自分裁判を開廷しました。その結果、以下のような考え方に修正することができました。

僕の目線は確かに無表情でいると攻撃的に見えることがある。これは一定の事実だけど、少しほほを上げるだけで印象はずいぶん変わる。目を合わせることは怖いけど、少しずつ慣れて行こう。

考えを修正すると、視線恐怖が軽くなっている感覚がありました。結果的に視線恐怖症の治療には数年かかってしまうのですが、認知行動療法を学ぶことで、かなり改善することに成功したのです。

 

浮上している感覚

認知行動療法は私にとってはじめての心理療法でした。実践していくと、歪んだ考えがほぐれ、対人恐怖が改善していく感覚がありました。私は、心理療法はすごいな!もっとたくさん学びたい!と考えるようになりました。

 

地元の本屋はあらかた読みつくしてしまったので、国分寺、新宿と、行動範囲が広げ、新しい本を買いもとめに行くようになりました。新しい心理療法の本を買ったときは、ワクワクしている感覚がありました。落ち続けている人生が底を打ち、少しずつ浮上している感覚が出てきました。

次に深く実践してみたのは「森田療法」でした。森田療法は「不安」「恐怖心」の改善に大きな成果をもたらすことになります。

 

 

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・川島達史 1981年生まれ
・社交不安症専門カウンセラー
・公認心理師 精神保健福祉士
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