重度の対人恐怖症になり、引きこもりとなった私は、人生ではじめて心理療法の1つである認知行動療法を勉強をしはじめました。
その結果、醜形恐怖症が軽くなり、さまざまな心理療法を試すようになりました。
森田療法との出会い
中でも日本人が創った森田療法はとても効果がありました。
森田療法は、精神科医の森田正馬が作った1920年代に作った心理療法です。仏教を土台とした思想があり、不安や恐怖心との付き合い方がうまくなる効果があります。
森田療法では「こだわり」が症状を悪化させるとされています。例えば、視線恐怖症の人は、
視線が合うと迷惑をかける!
でも目を合わせないと印象が悪くなる!
しっかり目を見ないと!
でも視線は怖い!
と四六時中考えます。そしてどうにか自然な視線になるように、様々なチャレンジを行います。場合によっては眼鏡を大きくしたりして、不安を緩和しようとします。
しかし、努力の甲斐も虚しく、大概の場合は、視線恐怖は悪化してしまい、みじめな気持ちになってしまうのです。
森田は、このようにこだわるほど症状が悪化していくことを、精神交互作用と呼び、対人恐怖がある方は、赤面、視線、笑顔に「こだわる」ことで、余計に対人恐怖を深刻化させてしまうと考えました。
あるがまま生きよ
精神交互作用を改善するのはどうすればいいのか?私は疑問に感じました。森田療法を学んでいくと、「こだわり」を捨て「あるがまま生きる」ことが大切であることがわかりました。
例えば、視線恐怖の症状を改善するには、
視線が怖いのは仕方のないこと
怖い自分を受け入れよう
怖い気持ちを自然なことと考えよう
と考えるのです。恐怖や不安は悪い感情ではなく、誰しもが持つごくごく当たり前の感情と前向けに受け入れていくのです。
恐怖に突入せよ
森田療法ではさらに、こう促されます。
不安や恐怖心を感じる場合でも、おもいきって飛びこんでみなさい!そうすれば、行動できる幅は広がっていきますよ
怖くてもいいから、怖いまま、やるべきことをやる。森田はこれを恐怖突入と呼んでいます。
確かに、視線恐怖でも会話はできます。ちょっと変な奴だと思われるかもしれませが、それも含めて自分なのだから、お茶でも飲みながら、そのまま視線を怖がりながら話しなさい。と森田は主張するのです。
*お茶でも飲みながら・・・は私の勝手な想像ですW
私はそうか!恐怖心や不安があっても、これが無くなることはないのだから、恐怖をなくそうと努力するのではなく、恐怖と共にありながら、行動しようという勇気をもらいました。
外に出る勇気
森田療法を学ぶ前は、恐怖心や不安感がある自分は異常で、社会に出ることはできないと考えていました。
しかし、森田に恐怖や不安は、あってよい、恐怖を持つことは自然なのだから、恐怖と共にありながら、自分の人生を歩んでいきなさい。と励まされました。
森田療法から勇気をもらった私は、いよいよ外に出て行こうという気持ちが出てきました。そうして私は社会に出るための具体的な行動をはじめることになります。
しかし、社会に出ることは、やはり苦しいことの連続で、様々な試練が降りかかることになるのです。そしてその試練に耐えきれず、私は大きな迷惑をかけることになります。
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・川島達史 1981年生まれ
・社交不安症専門カウンセラー
・公認心理師 精神保健福祉士
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