社交不安改善コラム

対人恐怖症克服記75 かわいい女の子と働きたい

 

対人恐怖症に8年苦しみ、引きこもりになった私は、心理療法の力を借りて、無職からフリーターになることができました。気がつけば4か月が経っていました。

 

会話にいくばくかの自信がついてきたので、さらに新しいバイトを増やしたいと感じるようになっていきました。

ただし、バイトを増やしたいという想いは純粋無垢なものではありませんでした。それは女子と話したい!という下心から来るものでした。

 

 

コンプレックス

私は、中学、高校と6年間男子校で過ごし、さきがけ男塾のような環境で生きていました。大学に入ってからも、人が怖いので、サークルに入ることができず、閉鎖的な4年間を過ごしていました。

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思春期のかけがいのない10年間を、砂漠のような世界で過ごしてきたのです。もし今死んだから、現世への未練で成仏できそうにありません。

 

私は乾ききった生活に嫌気が指し、オアシスのような人間関係を求めていました。できればそのオアシスには、水着の美女がいて、トロピカルジュース片手に

たっちゃん飲む?

とでも言ってほしいと妄想していました。

私はかかるトロピカルをもとめ、砂漠でオアシスを求めてさまよう遭難者のように、街を徘徊しながらバイトを探すようになっていました。

 

 

オアシス発見

ある日、新宿伊勢丹のあたりを探索していると、おしゃれな喫茶店が目に留まりました。

お店を覗いてみると、可愛い女の子の従業員が2人で開店前の準備をしていました。その2人はキャッキャウフフと和気あいあいとしていました。

 

清潔感を失わない程度に染めた髪、ゆらゆらと揺れるポニーテールが催眠術のように引き込まれます。

赤のエプロンを身にまとった店員、まったりとしたBGM、超ラクそうな仕事内容・・・私が求めるオアシスがそこにはありました。

私はその魅惑的な光景をみながら、

死ぬほど楽そうな職場だ・・・
かわいい女子もたくさんいる・・・
もしあの輪に入れたら・・・
暗い過去を帳消しにできるはずだ・・・

と感じました。

さらに僥倖なことに、そのお店には、求人募集の張り紙がありました。私は連絡先をメモをして、早速へ面接の申し込みをしました。するとトントン拍子で面接の日取りが決まりました。

 

 

殺伐とした面接

面接の場所はカフェの奥の席でした。周りは若い女性で溢れかえっていたました。

 

面接を担当してくれたのは二十代後半の女性店長でした。どこかストレスを溜めているような印象の女性です。接客業なのに笑顔がなく、第一印象はとてもきつい感じの人でした。

 

面接がはじまると、第一印象通り、殺伐としたものになっていました。きわめて事務的なもので、「今何をしているか」「週に何回これるか」「何時間勤務できるか」など、たんたんと進んでいきました。

 

当初、喫茶店の店長は、明るく親しみやすいという先入観があったので、そのギャップで緊張が走りました。

以前は、私自身に問題があると感じていたのですが、どうも「私に対してがっかりしている」というより、店長自身がとてもつかれているように感じました。

 

実はその原因は数か月後に判明することになります。

 

 

かわいい子と働ける

面接はたんたんと進み、1つも笑いや笑顔がないまま終了となりました。

うまく話せた自信はありませんでした。ただ、当初の予定よりも、喫茶店の印象が悪くなったので、このまま落ちてもそこまで、ショックはない心境でした。

 

そしてその日の夜、女性の店長から電話がかかってきました。

「川島さん、来週から、お願いします」

採用が確定しました。私は、お礼を述べると、嬉しさ70%、不安30%ぐらいの心境になっていました。

かわいい女の子と働けるのは最高ですが、どうも店長の雰囲気から「何かがありそうだ」という感覚になっていたのです。

 

そして、この喫茶店での仕事で、私は一生後悔する大きな迷惑をかけることになります。さらにその店長から印象に残る告白をされることになるのです。

 

 

 

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・川島達史 1981年生まれ
・社交不安症専門カウンセラー
・公認心理師 精神保健福祉士
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