引きこもりから脱出し、就職した私は、充実したサラリーマン生活を送っていました。
しかし、自分が作成した資料がきっかけとなり、尊敬していた先輩社員が辞めてしまうという事件がありました。
その時期から再びコミュニケーションの勉強に没入するようになっていました。
理解不能な粘り強さ
当時私には大学1年の冬頃から付き合っていた彼女がいました。大学2年の頃から一緒に会計士の勉強を始め、大学卒業後も粘り強く勉強を続けていました。
私たちには受験生と会社員という立場の違いがあります。試験前は月に1回、会えるかどうかだったと思います。しかし、縁が切れることはなく4年近く継続して付き合っていたのです。
彼女の最大の長所はその粘り強さにありました。一度机に座るとテコでも動かないのです。何時間でも平気で勉強できるのです。ADHD気味の私からすると考えられないことでした。コツコツと努力するという言葉かぴったりと似合う女性でした。
ダメ人間に対しても粘り強い
さらには私と付き合っていたこと自体が信じられないことでした。
特に対人恐怖のピーク時は彼女がいること自体おかしな状況でした。体重80キロで、毎日同じ服を着ていて、髪を鋤ハサミでカットして、かつコミュ障、陰鬱の塊のような人間だったのですから。
麻雀に狂って朝帰りを繰り返していた時期もありました。会計士試験を途中で辞めてしまったダメ男でした。余裕がないため、やさしい言葉をかけたことも少なかったと思います。
付き合っているときはいつもイライラしていて、ムードもへったくれないデートばかりでした。
彼女はその全てに耐えて、会計士試験同様、私とも粘り強く付き合ってくれていたのです。私は彼女は粘り強さの化身だと思っていました。
4年目のチャレンジ
彼女は口には出しませんでしたが、非常に苦しい時期を過ごしていたと思います。
会計士試験へのチャレンジは4年目を迎えていました。就職をしないで試験勉強に挑むというのは本当に精神的に堪えます。
20歳から24歳の頃の女性など一番青春をしてる時期です。
オシャレをして、美容雑誌を見て、マニキュアをしてデートする。成人式に出て振袖を着て社会からお祝いをしてもらう。彼女はそういった青春とは無縁でした。
あるのは先の見えない会計士試験の勉強だけです。
彼女は人生をかけて貴重な時間を自己研鑽に投資してたのです。それでも私のように見苦しく、負のオーラを全身から漂わせるでもなく、ただそっと努力を続けていました。
そうして暑い夏の日、いよいよ彼女は受験当日を迎えたのです。
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・川島達史 1981年生まれ
・公認心理師 精神保健福祉士 心理学大学院修了
・社交不安症専門カウンセラー
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