元引きこもりの私は起業をするために退職しました。陰鬱な日々が続く中、現実逃避の手段としてタイへ行くことにしたのです。
タイに到着するとレディーマッサージトラブルに遭遇し、路上生活を強いられていました。残りは300バーツ(900円ぐらい)になっていました。
腐臭漂う
タイは暑いので汗をかきまくっていました。
体から異臭がするのがわかりました。持ってきた洋服はTシャツ3枚だけです。汗臭いので、トイレでシャツを洗い、公園で天日干ししました。
しかし、全身の汗臭さは取れません。
とりあえずタオルを濡らして全身をふきましたが、焼け石に水です。風呂に入りたい・・・とすごく感じました。
徘徊
町中を徘徊し続けると、バンコク市内の地理がわかるようになっていきました。
観光客がたくさんいる、にぎやかなカオサン通り、電車などもある近代的なバンコク中心部、雑然とした工業地帯・・・
そして、インド人街がありました。ターバンを巻いているインド人がゾロゾロと歩いていました。
INN75バーツ
物珍しくインド人街を放浪していると、INN75バーツという手書きの文字を発見しました。
ええ!!75バーツ(200円ぐらい)??
75バーツと言えば手持ち資金300バーツでも3~4泊行ける金額でした。しかし、75バーツの宿というのはタイの中でも破格でした。どう考えてもあやしいです。
看板の向こうには、2階に続く階段がありました。
その階段の入り口に70歳ぐらいのターバンを巻いたおじいさんがいました。おじいさん認知症なのか?誰もいないのに何か1人でフガフガ言っています。
*作画 みちさん協力
そして、不思議なことに、なぜかそのおじいちゃんの横には、「SONY」と書いた大きな箱が置いてありました。
電化製品を転売?などもしてビジネスをしているのだと考えました。わたしはこのおじいちゃんをsonyじいちゃんと名付けました。
75バーツの部屋のクオリティ
sonyおじいちゃんに話かけると、フガフガ・・・と返してきました。何を言っているのは分からなかったのですが、表情から泊まれると言っているようでした。
3日間体育座りで野宿して体がおかしくなっていた私は、75バーツをじいちゃんに渡しました。
するとじいちゃんは100均で売って良そうな南京錠を渡してくれました。。
2階に上がるとそこは、雑然とした倉庫のような空間になっていました。私の部屋の前にも何から箱詰めされた商品が置いてありました。
私の部屋は、漫画喫茶よりちょっと広いぐらいの小さな個室でした。
そして、本当に洗っているのか?という汚い布団とベッドがあるだけの簡素な部屋でした。ホテルというより、倉庫置き場の1室という感じしいた。
シャワーのありがたさ
しかし、嬉しいことにその宿は、共同のシャワーがついていたのです。むろん、シャワーと言っても、水しかでません。
それでも、充分でした。
私は汗まみれになったTシャツを洗い、体にこびりついた腐臭を洗い流し、やっと人並みの気持ちになって、布団で寝ることができたのです。
しかし、この宿に3日間泊まると、ついに資金が底をついてしまいました。財布を何度みても、残金はゼロ円です。私は再び頭を抱えることになります。
*********
・川島達史 1981年生まれ
・公認心理師 精神保健福祉士 心理学大学院修了
・社交不安症専門カウンセラー
・ご相談はこちらからお待ちしています
*********