引きこもりから起業ニートになった私は、コミュニケーション講座を創るという目標を立てました。修行のため5万円の研修に参加すると、いよいよ研修講師が入室してきました。
講師入場
研修講師は60代後半でした。服装は背広のスーツ、身長は165センチぐらい、見た目はバスの運転手さんのような雰囲気でした。信仰宗教のような華美な洋服ではなく、うさん臭さはありません。
その日の気分
講師の方は演台につくと、ボロボロになったノートを演台に1冊ドカッと置きました。おもむろにノートをパラパラめくると、待ってましてとばかりに講義がスタートしたのです。
講義内容は体系的に整理されたカリキュラムという感じではなく、このままではダメだ!堕落してしまう!という趣旨の内容を冒頭から言われました。5万円をとって罵倒されるという、さわやかな講義が続きました。
*中間管理職トネガワ4巻 30話より
魂で話せ!
講師の方はノートをめくりながら、様々な主張をしていきましいた。端的にまとめますと、コミュニケーションをする際は
頭で考えて話すタイプ
魂で話すタイプ
の2種類があるらしいのです。そして、皆さんは頭で話すタイプから魂で話すタイプに変わらなくてはならない。ということをひたすらわれる続けるのです。
「魂」
「魂」
「魂」
と連呼されます。
根拠ゼロ!主観講義
私は最初は懐疑的に先生の話を聞いていました。私は勉強不足ではありましたが、基本的な心理療法の在り方を学んでいました。
心理療法の基礎に、エビデンスベースドという考え方です。端的に言うと、研究をしっかりして証拠を積み重ねたものを大事にしましょう。という考え方です。
私は主観的な療法は懐疑的になっていました。 なんだこの先生・・・根拠ゼロの主張ばかりじゃねえか・・・そう斜めに聞いていました。
すくなくとも1時間は・・・・
2時間の講義で頭がおかしくなる
講義はひたすら続きました。全然終わる気配がありません。最初は斜めに聞いていた私もぼうっとしてきました。
気が付けば、休憩なしで2時間ぶっ続けで、魂の話をしていました。
疲れてきたのか、頭がだんだん先生の主張を聞くようになってきました。判断能力が鈍ってきているのがわかります。だんだんとぼうっとしてきて、目がうつろになってきました。周りのメンバーも目がうつろになっていました。
2時間ひたすらこの類の話を聞くと、なんだかちょっと、おかしくなってきます。
ほんと根拠のない話をひたすら聞かされているのですが、一瞬、あ・・・いま先生いいこと言ったかも・・・と持っていかれそうになるのです。
八百万の神様を信じる日本民族としては、どこか情緒的に受け入れてしまう面があり、やべ~!魂!魂!という気分になってきます。
「魂」
「魂」
「魂」
「魂」
「魂」
講師の方が強く力強く訴える度に、メンバーの一人はどこか、うるんでいるような眼をしていて、異様な空気になっていきました。
スピーチをせよ
空気が変わると、講師がノートを閉じました。ワークの内容は、「魂でスピーチする」というものでした。頭ではなく、魂でスピーチをせよ!というのです。
この魂スピーチで私は、自己啓発系セミナーの深い闇を全身で味わうことになるのです。
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・川島達史 1981年生まれ
・公認心理師 精神保健福祉士 心理学大学院修了
・社交不安症専門カウンセラー
・ご相談はこちらからお待ちしています
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