引きこもりから脱出して、私はどうにか就職先をみつけました。
配属先は社長の目の前でした。最初はうまくやっていけるか不安で仕方がありませんでした。しかし、経営についての知識が役にたち、重要度の高い仕事を任されはじめました。
資金繰りという時限爆弾
会社の代表的な指標には、
損益計算書
資産表
キャッシュフロー計算書
の3つがあります。この3つが大事ですよ!と会計の教科書などでは習うわけです。しかし、実際の経営というのは、もっと大事な指標があるのです。
それは
資金繰り管理表
です。
資金繰り管理表というのは、会社の命の指標と言っても良いかもしれません。なんせ会社はお金がなくなってしまうと、途端に倒産してしまうからです。
経営者にとって資金繰は「いつ爆発するかわからない時限爆弾」を抱えているようなものなのです。
計算間違え=致命傷
そんな重要性の高い資金繰について
「川島くん~資金繰り管理表今月からお願いね」
と社長が突然宣言したのです。
任された瞬間、
(まじかよ~やべえ~)
と不安しかありませんでした。
それから私は独立するまで、資金繰り管理表を創らされ続け、本当に計算が合っているのか?間違っていたら会社潰れないだろうか?とドキドキしながら毎月過ごすようになったのです。
(ちなみに、24歳の頃に独立した後に、資金繰りには散々悩まされました。何度か地獄を見ることになります。この話はまた起業編で書こうとおもいます。)
充実感を得る
このように私は会社の重要な仕事をいくつも任されるようになっていきました。プレッシャーはとても大きかったです。その一方で
「認められている」
という感覚を全身で感じるようになっていました。
過去を振り返ると、会社に入社するまで、「認められている」という感覚を思春期からほとんど感じていなかったように感じます。
自分というものを主張したこともなく、主張もしないですから、受け止めてもらうこともなく、頼りにされることがなかったのです。
自分が社会と繋がっている感覚がなかったのです。
言うならば
僕なんて社会にいなくてもいい存在なんだ
という感覚です。
この感覚があるときは本当に心がつらい状態になります。孤独感と殺伐した心に支配され、他者への攻撃性、自分への攻撃性、社会への攻撃性が極限まで高くなっていました。
対人恐怖の回復に必要なもの
しかし、社長から肯定的なストロークを毎日もらうことで、次第に心を開き、対人恐怖の症状は和らいでいました。
高校生の頃から勉強してきた経営に関する知識をはじめて受け止めてくれる存在。そして実際に重要な仕事を任せて頼ってくれる。
「僕は社会に認められている、存在していてもいいんだ」
そんな感覚を強く持つようになってきました。人から認められたり、関わることがどれだけ人生に重要な意味を持つのかを体感しました。
認知療法などで心のあり方を安定させること
適度に練習して具体的に関わる練習をすること
現実的に人との肯定的な関わりを体験すること
この3つがとても大事なんだと体感的に理解したのです。
突然の中国出張
そうして、会社入後、1年ぐらい立つと、私は銀行との取引や、手形決済、経営指標の作成など、本格的に社長の手伝いをするようになっていました。
そんなある日 社長が突然私に新しい仕事を言い始めました
「川島くん~川島くんも
そろそろ中国行ったほうがいいね。
来月、出張してね」
中国。。中国って、三国志の中国ですよね。
当時の私には、中国と言えば、三国志の中国と、
キン肉マンのラーメンマンのイメージぐらいしかありませんでした。
そして私は今から13年ほど前の、高度成長期に入り始めた中国に出張することになるのです。ラーメンマンに会いに!!!
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・川島達史 1981年生まれ
・公認心理師 精神保健福祉士 心理学大学院修了
・社交不安症専門カウンセラー
・ご相談はこちらからお待ちしています
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