高校1年の頃、私は生れて始めて女子とデートをしました。しかし、対人恐怖症が始まっていたため、苦しくて仕方がありません。
好きであればあるほど、辛いのです。結局、1時間散歩するだけでデートを終了してしまいました。
苦痛からの解放
やっといつもの自分に戻れる・・・
やっと表情を気にしなくて済む・・・
私は緊張から解放され、心の底から安堵し、放心状態になっていました。
家に帰ると、すぐに不安が襲ってきました。
会話が全く盛り上がらなかった・・・
彼女は楽しめなかっただろう・・・
もう会えないかもしれない・・・
ネガティブな考えがあたまをグルグル回ります。
メッセージは送らない
恋愛の経験があれば、自分からメッセージをして、
積極的にアスカさんに気持ちを伝えるべきです。
しかし、メッセージを送ったところで、もはや返ってくる見込みはないと感じていました。
通学路ですれ違う時、辛うじてかっこいい認定されていた私は
きっとデートで全くの虚像であったと思われたに違いないと思い込みました。
一度でもメッセージをしてしまえば、
「返信待ち」の状態になり、
苦痛は倍増してしまいます。
メッセージをしなければ
「返信待ちの状態」にはならず
メッセージを打っていないから返信がないという
言い訳じみた保険をかけることができます。
私は苦しみから逃れるため、メッセージを送りませんでした。
鳴らないポケベル
一方で、わがままなことに、アスカさんが、もしかしたらメッセージをくれるかもしれないとも一抹の期待もしていました。まだ私の不細工がバレておらず、どうにか「かっこいい」イメージを保てたかもしれない・・・とわずかな希望もありました。
しかし、ポケベルは鳴りません。
2時間・・・
3時間・・・
4時間・・・
いつまで経っても鳴りません。
ポケベルの画面を眺めると
「メッセージハアリマセン」
と書いてあります。
5分おきに確認する度、
「メッセージハアリマセン」
という文字を読むことになります。
だんだんとそのメッセージが
「オマエハフラレタンダ」
と責めている文章な気がしてきました。
はあ・・・やっぱりだめだったか・・・私は不貞腐れ、深いため息をつきました。
私は、画面を見るのが嫌になり、ポケベルを布団の奥底に投げ込みました。そして、今日の不運を流し去るべく、風呂に入ることにしました。
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・川島達史 1981年生まれ
・社交不安症専門カウンセラー
・公認心理師 精神保健福祉士
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