独立をしようと会社員を辞めた私ですが、肝心の何をするか?がまだ決まっていない状態でした。
そこでまずは「1円を稼ぐ」ということを目標にすることにしました。まずは商売の種を捜すため東京中を歩いてアイデアを求めました。
しかし、いくら歩いてもアイデアを発想することができません。
日に日に追い詰められ、絶望・恐怖・・・強いマイナス感情が全身にまとわりついてくる感覚がありました。
にぎやかな一角
そんな徘徊を繰り返していたある日、新宿西口のビル街で賑やかな音が聞こえてきました。
その日は日曜日でした。ビジネス街の一角だったので、休日は静かなはずです。しかし、近づいてみると人だかりができていました。
吸い込まれるように近づいてみると、フリーマーケットが開催されていました。その時、
フリマであれば、目標とする1円を売り上げられるかもしれない!
とすぐに直観しました。資本金もいらない。既に持っているものを売ればいい。1円を売るという目標にはピッタリだ!そう感じたのです。
自分の将来の仕事にするわけではありません。
まずは1円を稼ぐという小さな一歩を踏み出したかったのです。無為な徘徊にはうんざりしていました。とにかくとにかく結果が欲しかったのです。
地元でのフリマを見つける
私はすぐに帰宅しました。
日曜日なので、会いたくない両親がいました。ニートという立場で楽しく健康的な会話など到底できるわけがありません。
私は「ただいま」の挨拶もせず、すばやく物陰に隠れるネズミのように、屋根裏部屋に遁走しました。
24歳にもなって何をやっているのか・・・と自分を責めました。
屋根裏部屋に到着すると、私はネットでフリーマーケットの開催場所を捜しました。
検索をすると、全国各地で開催されていることがわかりました。最寄りの会場は埼玉県にありました。
自転車なら2時間ほどで到着することができます。フリマの開催期間は土日の2日間でした。
場所代は3000円でした。
これなら限られた事業資金を減らさないで済みます。すぐさま3000円を振り込むと、さっそく商品の構成を考えることにしました。
初めての商店創り
いざ商品構成を考えると、売れるものがほとんどありません。
唯一売れそうなものは、古本、中学時代に着ていたコートなどがなんとか売れそうになっていました。
私は部屋中を捜索し、ほとんどゴミ同然のものかき集め、値段をつけていきました。
・マンガ1冊30円 50冊ほど
・黒のコート 3000円
・学生鞄 1000円
・半分使ってしまった 大きめのローソク 50円
・プレステソフト 100円
・・・・
どうにか、かき集め、値札をつけていきました。
もっとも値札というものも持っていなかったので、紙を切ってセロファンを張るという極めてお粗末なお店を創ったのです。
フリマ当日
そして準備を終えると、いよいよフリーマーケットの日になりました。フリーマーケットは10時から開催でした。
運搬手段はママチャリです。買い物かごに漫画を入れて、後ろに荷台をつけて、コートや雑貨を載せます。
それでも入りきらないので、持ち手の部分にビニール袋をひっかけて商品?を入れていきました。
どう見てもスタイリッシュとは程遠い出立です。
見ようによっては、ゴミを運んでいるホームレスの方か、家出少年に見えたとも言えます。実際、会場に向かうまでの道は何度も不信感ありありの視線を感じました。
それでも私は1円を売り上げたいと強く決心し、会場に向かったのです。
しかし、私はフリマ初日を持ち前の対人恐怖心性を活性化させてしまい、さらなる黒歴史を刻んでいくことになるのです。
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・川島達史 1981年生まれ
・公認心理師 精神保健福祉士 心理学大学院修了
・社交不安症専門カウンセラー
・ご相談はこちらからお待ちしています
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