社交不安改善コラム

対人恐怖症克服記135 起業迷走編5 目的本位に生きる

 

 

独立をしようと会社員を辞めた私ですが、「1円も稼いだことがない」というコンプレックスを抱えていました。

そこでフリーマーケットに挑戦したもの、出店者同士の会話が怖くなり、会場から逃げ出してしまいました。治っていたと思っていた対人恐怖が再び覚醒してしまったのです。

 

帰り道は非常につらいものがありました。30キロ近くある荷物を2時間かけて運んだにも関わらず、商店すら開かず、帰宅することになってしまった。

荷物が重く重く感じました。

 

売れ残った商品の値札が、風が吹くたびにパタパタとなびきます。商品たちに笑われているようでした。耳障りなので値札を掴んですべて剥がしてしまいました。

 

地を這う敗走ニート

 

 

世間はIT起業で盛り上がり、若くして華々しく成功している方が多い時代でした。最先端のアイデアを元に成功を重ね、人生を駆け足で進んで行く起業家達。

 

方や私はアイデアもなく、ごみのような商品を荷台に積んで、お店を開くどころか、会話が怖くなって逃げている。1ミリたりとも前進できない。

 

途中、国道を通っている時、この車にはねられれば楽になるかな・・・と想像しました。その感覚は引きこもりの時の以来でした。

 

 

 一体僕はこの24年間、何をしていたのだろうか・・・

 

会計士の勉強を2年間毎日勉強してきた・・・

 

経営学の本を何百冊も読んだ・・・

 

会社員として2年間修行した・・・

 

それなのにフリマ一つ開店できない・・・

 

 

人と関われないなら仕事はできない

 

 

帰宅後、放心状態になりながら、現実を確認しました。

現実は正直です。いくら勉強したとしても、コミュニケーションを避けてしまえば、その努力は全て無意味なのだと痛感しました。

 

仕事とは人間との関わり合いの連続です、コミュニケーションを避けていては何一つ前進などしません。

現実の仕事の前には、人が怖いという心性をどうにかしなくてはならないことが身に染みてわかりました。

 

これから先、たくさんの人と接することになる。その中には苦手な人もいるかもしれない。でも不安な気持ちを言い訳に逃げていたら、人生は何一つ変わらないのです。

 

 

目的本位 反省会

 

 

そういえば私には引きこもりの時に学んでいた、心理学の知識がありました。

私はもう一度「森田療法」の本を引っ張り出して丁寧に読み返しました。森田療法では「気分本位」「目的本位」という概念を重視しています。何度も勉強した概念でした。

 

気分本意とは

感情に支配されてその感情の赴くまま行動してしまう姿勢です

目的本位とは

気分に振り回されずに、目的を大事にして生きていきていく

 

という考え方です(興味がある方はこちら)。私の行動は典型的な気分本意の行動でした。いい加減この姿勢は改めないといけない。目的を大事にして、不安感や恐怖心に支配されるのではなく、うまく付き合いながらやるべきことをやらないといけない。

 

 

フリマに再び恐怖突入

 

 

時間は深夜になっていました。私は1つの結論に行きつきました。

 

それはかの小規模なフリーマーケットに再度、恐怖突入することでした。それが唯一の、怖がりな心性を克服する方法と考えたのです。

逃げ続ける自分にはうんざりでした。逃げることに嫌気がさして、自分の生き方を変えるために会社まで辞めてしまったのです。

結果が出る出ない以前に、行動しない自分へ嫌気が差したのです。

 

もう1円売るなんて目標は立てなくいい!

 

まずは出店できればいい!

 

どうなってもいい!

 

自分の決心を曲げず、店を出そう!

 

そう決意を固めました。

 

 

そして再戦

 

 

唯一の救いはフリーマーケットの開催期間は2日間だったということです。

1日目が挫折しても2日目が残っていました。私は再びごみのような商品に値札をつけ、2時間パタパタとそれに笑われながら、会場にたどりついたのです。

 

 

そうして私はやっと小さな小さな成果を手にすることになるのです。

 

 

 

 

 

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・川島達史 1981年生まれ
・公認心理師 精神保健福祉士 心理学大学院修了
・社交不安症専門カウンセラー
・ご相談はこちらからお待ちしています
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