引きこもりから起業ニートになった私は、ダイレクトコミュニケーションを設立しました。
カリキュラムを作成し、毎日模擬講義をして準備を重ねました。しかし、広告の壁にぶつかり、1人もお客様が集まらないという日々が続きました。
そんなある日、5年付き合っている彼女から久しぶりに電話がかかってきました。そして彼女は電話口で泣き始めたのです。
彼女の決断
彼女の様子から、ただ事ではないことがわかりました。
「どうしたの・・・?」
私は心配になり、質問を繰り返しました。彼女はなかなか話そうとしません。私は背中に冷たいものを感じました。いくら言葉を投げかけても彼女は泣くばかりです。会話にならない時間が続きました。
数十分経ったでしょうか・・・
彼女は絞り出すように
「別れたいの・・・」
と私に宣告たのです。
私はあっけにとられてしまいました。まさかまさか彼女が別れたいと考えているなんて微塵も考えていなかったのです。
嘘でしょ
ひきこもってどうしようもなかった時、彼女は家まで様子を見に来て、励ましてくれました。
私が会社を辞めても粘り強く付き合ってくれていました。どんなに大変な時期でも、ついてきてくれたのです。苦しい時にもそばにいてくれたことで、私は彼女を心底信頼しきっていました。
彼女がそんな気持ちを持っていたなんて信じられませんでした。
「嘘でしょ?・・・いや・・・ありえない・・・どうして・・・」
私は現実感なく告げました。そのあと私は、彼女にどうして別れたいか?理由を聞き続けました。しかし、彼女は泣きじゃくるだけで、その理由をこたえようとしません。
おそらく彼女なりにたくさん理由があったと思うのですが、私を傷つけないように精いっぱい、かばってくれたのだと思います。
1時間近く電話口で彼女は泣き続けました。
話し合いにならないので、
「と・・・とにかく、っちょっと待ってくれ・・・」
と告げて電話を切ってしまいました。すぐに別れを受け入れることはできなかったのです。
時すでに遅し
電話を切った後、私は腰を抜かして床にへたり込んでしまいました。
放心状態になってしまい、体の芯がなくなってしまった感覚がありました。彼女とは戦友のようなものでした。勉強ができない私に、我慢すること、勉強することの楽しさを教えてくれました。
粘り強く勉強を続け会計士に合格した彼女を人間としても信頼していました。
しかし、私はあまりも、彼女に対して何も喜びを提供していいなかったのです。客観的には、どう考えても釣り合いが取れている状態ではなかったのです。別れたいと言われることでやっとやっと気が付いたのです。
しかし、時すでに遅しでした。
彼女の意志は堅く、その後何度か説得を試みたのですが、最終的に別れることになってしまいました。
無気力な生活に戻る
私の中で、いつか成功して、苦労を掛けた分、彼女にお返ししたいという気持ちがありました。
少なからずそれは大きなモチベーションになっていました。もし仕事がうまく言ったとしても、報告する相手がいないのです。
私は起業への意欲が減退し、荒んだ生活に戻ってしまいました。広告は手詰まり、借金目前、彼女にも振られ、起業プランを理解してくれる人もいなければ、応援してくれる人もいない状況になってしまいました。
コミュンケーション講座を開こうとしてる人間が、矛盾するように孤独と向き合うハメとなり、どこまでも続く底なし沼にはまり込んでいく感覚がありました。
心のよりどころを失った私は、毎日続けていた講義の練習も辞めてしまい、心と体に力が入らなくなってしまいました。
さすがにもう限界だ・・・
私ははっきりとそう感じたのです。
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・川島達史 1981年生まれ
・公認心理師 精神保健福祉士 心理学大学院修了
・社交不安症専門カウンセラー
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