高校時代、私は対人恐怖症と赤面恐怖症に苦しみ、さらに父親への反発から将来に深い不安を抱えていました。
勉強にも身が入らず、孤独感を抱えていたある日、商店街の八百屋のオヤジが家族と幸せそうに過ごす姿が目に焼き付きました。その幸せそうな表情に、心を揺さぶられ、自営業への憧れを抱くようになりました。
しかし、それは対人恐怖や勉強から逃れるための言い訳でもありました。父親と比べられる苦しさから逃れるため、自分を守ろうとし、言い訳をするように経営学の勉強をはじめたのです。
図書館通い
私は学校帰りに図書館に寄るようになっていました。図書館では経営学の本をよく読んでいました。最初はおぼろげに自営業に興味を持った私も、段々とその面白さに引き込まれていきました。
本田宗一郎や松下幸之助の本を何度も読み返しました。成功するまでのプロセスに心が躍りました。学校の勉強の何倍も楽しいのです。
最初は図書館で会社に関する本を読んでいましたが、あらかた読みつくすと、小遣いの中から、広告、経理、総務に関する本を買うようになりました。自分でお金を出して買った本です。大事に読みました。
高校3年生になると、とうとう塾の授業中ですら、会社経営に関わる本を読むようになっていました。皆が受験勉強をしているときに、コソコソ経営学を学ぶことに背徳感もあり、ゾクゾクしていました。
嘘つきと劣等感
一方でいくら経営学を学んでも、誰一人評価をしてくれるわけではありません。高校3年生の私にとって
「偏差値」
が絶対的な尺度なのです。経営学の勉強に逃げ、偏差値があがらない自分に、嘘くささも感じていました。経営学の本をカッコつけて読んだって
お前には無理だって
どうせふつーに大学入って
ふつーに就職するんだろ?
あ!でもお前、全然勉強してないじゃん
ふつーすらダメじゃん
ざまあねえな
どこかで、自分を俯瞰し、嘲笑っていました。
覚悟不足
結局私に足りなかったのは覚悟でした。本当の意味での確信があれば、塾を辞めて、どこかに丁稚奉公にでも出て行くべきでした。しかし、良い大学に入って、大手の会社に入るという生き方から外れるほどの勇気もありません。
独立して生きる!
という目標に確信を持てず、かと言って大学受験に集中することもできず、フラフラとした精神状態のまま、受験の本格的なシーズンに突入してしまうのです。
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・川島達史 1981年生まれ
・社交不安症専門カウンセラー
・公認心理師 精神保健福祉士
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