高校時代、対人恐怖症と赤面恐怖症に苦しみ、勉強から逃げ続けた私は、中途半端な受験を経て滑り止めの日大に合格しました。4月になり、いよいよ授業が始まります。
新しい環境に胸を躍らす時期ですが、コミュ障であるため大学生活に馴染めるか不安で仕方がありませんでした。実際に、大学生活に全くなじむことができず症状が悪化していきました。
視線恐怖の始まり
入学前は、赤面することを恐怖していましたが、入学してからはさらに「視線恐怖」が始まっていました。
視線恐怖症は大きく
加害性‐視線恐怖
被害性‐視線恐怖
の2つにわけることができます。
加害性‐視線恐怖
とは、目を合わせると相手に不快感を与えるのではないか?と感じる症状です。
被害性‐視線恐怖
とは、相手の目線が自分を攻撃している、自分の醜い部分を見られていると感じる症状です。
私にはこの2つにあてはまる症状が出ていました。
正面で話せない
私の目は切れ長で、丸い目ではありません。目の形に自信がなかったので、私と目があった人は、安心感を持てず、びっくりするのではないかと考え始めました。
実際に会話をして、目があった際に、相手がすぐに目をそらすと、
やはり僕の視線が怖いんだ!
僕から見られると不快感があるんだ!
と確信を深めていきました。すると迷惑をかけてはいけない、怖がらせてはいけないという感覚が強くなり、たまたま目が合ってしまうと、しまった!と感じました。体は、びくっとして、電流が走るような感覚が出てきました。
目が合うと迷惑になる、という思いは日増しに強くなり、目の前に人がいると全く目を合わせられなくなりました。特に正面に人が座るとどうしていいかわからないので、話をするときは横並びで話す癖がついていきました。
発表と大量の汗
大学の授業では壇上に立って発表する科目がありました。発表があって視線を浴びると考えるだけで、1週間前ぐらいから憂鬱な気持ちになっていました。
当日は、自分の番が回ってくる前から、脂汗が大量に出てきます。そして、いざ発表になり、視線を浴びると、その視線がハリのように体に刺さります。体がかたまり、顔が高揚し、声が震えます。するとその症状により集中してしまいます。
頼むから身体よ!緊張しないでくれ!
皆から見られているんだよ!
ほら・・・みんな僕を馬鹿にしている
そう心の中で葛藤し、全身に症状が出てきます。私はついに、発表すべきことの半分も発表しないまま、壇上を後にしました。席に変えると、みんな僕のどうしようもない発表をみて、心の中では嘲笑しているに違いないと思い込んでいました。
対人恐怖の症状
対人恐怖には様々な症状があらわれます。代表的なものは以下が挙げられます。
赤面恐怖 視線恐怖 醜貌恐怖
表情恐怖 笑顔恐怖 自己臭恐怖
会食恐怖 書痙 スピーチ恐怖
電話恐怖 異性恐怖 作業恐怖
複数の症状を持つ方も多いのですが、3つぐらいで症状の拡散は止まる傾向にあります。4つ以上持っている方は、かなり稀だと思います。人間の集中力には限界があるので、3つぐらいが併発の限界なのだと思います。
私の場合は
赤面⇒醜貌恐怖⇒視線恐怖症
と移行していきました。もし私の体質的に赤面がなかったら、自分の臭いを気にしていたかもしれませんし、電話恐怖になっていたかもしれません。
すなわち、対人恐怖に関連するこれらの症状は実は枝葉にすぎないのです。根本的な原因は
「人からどう見られているか気になる」
「人から嫌われることを恐れる」
という心性なのです。この心性を解決しない限りは、どれかの症状が発火し続けることになります。
そしてギャンブル依存に
対人恐怖傾向に歯止めが利かなくなると、大学に行くことがますます苦痛になっていきました。思えば大学に入学してから碌なことがありませんでした。
新歓コンパでは1回も女子と連絡先を交換できませんでした。視線恐怖症もはじまり雑談すらできません。人が怖くて食堂にすらいくことができなくなってしまいました。私は大学の居心地の悪さに耐えられず、授業が終わるとさっさと地元に帰るようになっていました。
そして、私は、現実を忘れるため、ギャンブルにのめりこんでいくことになります。その病的さは異常で、家庭内での犯罪にもつながっていくのです。
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・川島達史 1981年生まれ
・社交不安症専門カウンセラー
・公認心理師 精神保健福祉士
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