社交不安改善コラム

対人恐怖症克服記27  ダメ人間からの脱皮

高校時代、対人恐怖症と赤面恐怖症に苦しんでいた私は大学生活に馴染めず、孤立した日々を送っていました。

現実逃避をすべく、中学時代に兄から教わった麻雀に再びのめり込み、知らない人たちとの真剣勝負に心を奪われました。そのハマリ方は異常で、昼夜は完全に逆転し、寝ずに大学に行くこともありました。

しかし、親の財布からお金を盗むまでになり、ギャンブル依存症のようになっていました。

 

自己嫌悪の塊になる

この時期の私は、ただでさえ低い自己肯定感が底抜けに下がっていました。

滑り止めの大学になんとなく入学し、学歴コンプレックスがありました。高学歴の家族と比較し、私だけが劣っている感覚になりました。

6年間過ごした男子校をついに脱出し、女子がいる環境に入ったにも関わらず、積極的に声をかけることができません。あれほど憧れていた環境だったにも関わらず、女の子の友達すら1人もできません。

さらには、雀荘漬けの生活になり、末期的な症状として、親のお金を盗むまでになっていました。大敗を喫した日は、たばこのにおいが体中にまとわりつき、自己嫌悪の塊になっていました。

 

変わる決意

自己嫌悪が最高潮に達すると、目が覚めてから寝るまで、ただただ苦しい時間になります。なんせ「自分」が嫌いなのです。嫌いな自分は目が覚めた瞬間から、背後霊のようにまとわりついてきます。

滑り止めの大学生活は楽しいかい?
女子と友達にすらなれず終わったな(笑)
親の財布からお金を盗んで負ける、クソだな

何をするにもそう「自分」がささやいてきます。

このような時間が長くなると、苦しみから逃れるべく、みすぼらしい自分と決別したくて仕方がなくなってきました。

こんな生活を続けたら人生が終わる!
いい加減自分を変えたい!
こんなくだらない人生は嫌だ!

ついに私は、強くそう感じように、真面目な生活をする決意を固めていきました。

 

起業願望再燃

いっぽうで、心を入れ替えようと決意したものの、何に情熱を向ければいいのか、自分の中ではまだ定まっていませんでした。ガソリンはあれど、どこに車を走らせればいいかわからない状態でした。

そこで、ままずは大学の講義を受けることにしました。

大学は経営学部だったので企業組織論、原価計算論、現代経営学など経営に関わる講義をたくさん選択していました。特に、本田技研、ブリジストン、パナソニック、などの起業の講義は面白く感じていました。

なぜ面白いか自問自答すると、自分の中には自営業に関する憧れがまだあることが再燃していきました。高校時代、図書館に籠って経営の本を読んでいたのは、現実逃避でもありましたが、真に興味がある部分もあったとわかってきました。

私の中で、「起業したい」という思いがだんだんと大きくなっていました。

起業をして活躍したい
自営業で自分らしく生きたい
女子にモテたい!
自信をつけたい

これらの欲求が頭をぐるぐる駆け巡るようになっていきました。

 

日商簿記への挑戦

困ったことに、大学の講義では「起業の仕方」「独立の仕方」などという科目はありません。扱う事例は大きな会社のことばかりです。本田技研、パナソニックの話は面白いのですが、どこか遠い世界の話に思えました。

私はもっと地に足がついた現実的な勉強がしたいと感じ始めていました。そこで目に留まったのが「簿記」でした。簿記は独立するために必須の知識であると、どの本にも書いてありました。

タイミングよく大学では日商簿記2級の短期講座が開催されていました。資格を取れば自分に自信を持つこともできるかもしれません。そこで私は起業の足掛かりとして簿記の勉強を始めてみることにしたのです。

そしてこの講座では、人生に大きな影響を与える2人と出会うことになるのです。この2人と三角関係になるとはまだ想像すらしていませんでした。

 

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・川島達史 1981年生まれ
・社交不安症専門カウンセラー
・公認心理師 精神保健福祉士
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