社交不安改善コラム

対人恐怖症克服記28 初めての友人

高校時代、対人恐怖症と赤面恐怖症に苦しんでいた私は大学生活に馴染めず、孤立した日々を送っていました。

現実逃避をすべく、中学時代に兄から教わった麻雀に再びのめり込み、ギャンブル依存のような状態になっていました。挙句の果てには親の財布からお金を盗むようになります。

さすがにこのままではいけないと考え、心を入れ替え簿記の資格を取ることにしました。

 

横山君との出会い

この時期に初めて友人ができました。名前は横山君と言います。

日大では入学すると軽井沢の研修所で行われる、1泊2日のオリエンテーションがあります。横山君は道中のバスで、偶然隣に座った男の子でした。物静かでシャイな感じが私にとても似ていました。

横山君は物腰が柔らかく、押しが強いタイプではありません。かと言ってずっと黙っているわけではなく、適度に会話をしてくれます。対人恐怖の私でも安心して話ができました。

一方で、私は雀荘に狂ってしまったので、横山君とは顔見知り程度の関係のままでした。

 

横山君と仲良くなる

そんな折、私は簿記の講義を1人で受けても面白くないと感じていました。そこで、連絡先を唯一知っていた横山くんを誘いました。横山くんも勉強をしたかったらしく、ふたつ返事でokをくれました。それ以来、2人で簿記の講義を受けるようになったのです。

あとでわかったことですが、横山くんはとある銀座の老舗企業の御曹司でした。日大は水道橋にあったのですが、いつも自転車できていて、自宅の銀座から通ってくるという生活をしていました。

そういえば横山くんにはどことなく気品が漂っていました。人の悪口をほとんどいうことがないですし、会話もいつも丁寧でした。金持ちを鼻にかけることもなく、謙虚な姿勢に私はとても好感を持っていました。

 

大学に行く頻度が上がる

私と横山君は簿記の講義をサボることなく通い続けました。「手形取引」「勘定科目」「損益計算書「貸借対照表」「原価計算」、起業願望のあった私はワクワクしながら勉強していきました。

とても現実的な勉強で「八百屋のオヤジ」に少しだけ近づいていくような感覚がとても嬉しかったです。

八百屋のオヤジの話

 

横山くんと簿記の勉強をした後は、水道橋や神保町にある安いご飯屋さんを探して語り合うことが楽しくなっていました。

特に水道橋はおいしい店が多く
「天ぷらのいもや」
「カレーライスのまんてん」
「ラーメン屋 さぶちゃん」
によく行きました。

勉強は一人よりも友達と一緒の方が面白いし、ご飯もおいしいということがわかってきました。勉強が続いたのはやはり友人と一緒にできたことが大きかったと思います。

最初は簿記の勉強がメインでしたが、半分は横山くんと何気ない会話をすることが楽しみになっていました。穏やかで安心感のある日々を過ごすことができました。

 

結果的に横山くんとの付き合いは2年ぐらい続きました。しかし、その2年後に、3角関係でもめるとはこの時想像すらしていませんでした。

 

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・川島達史 1981年生まれ
・社交不安症専門カウンセラー
・公認心理師 精神保健福祉士
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