対人恐怖症を抱えながら大学生になった私ですが、簿記の講座で橋本さんと出会い、三角関係の末、彼女にすることができました。
しかし私は調子に乗ってしまい、男子校出身の痛いノリで彼女を何度か泣かせてしまいました。
それでも橋本さんは持ち前の我慢強さで私との付き合いを続けることになるのです。
微妙な達成感
橋本さんと、大学生活をすごしていると、簿記試験の結果が発表される時期になりました。結果は2人とも合格していました。私は人生ではじめて、簿記2級という資格を得ることができました。
初めて取得した資格は嬉しいものでしたが、満足感はありませんでした。それは滑り止めとして、日大を合格したときの感覚と似ていました。所詮は簿記2級です。人生が変わるほどの破壊力があるわけではありません。
その気持ちは橋本さんも同じでした。彼女は日大生としてはかなり目標を高く持つタイプでした。ある日彼女は
「税理士を目指そうと思うの」
と高らかに宣言しました。私自身、どこか釈然としない成果にモヤモヤとしていたので大賛成でした。日大生で大型資格を目指そうとする人は、およそ2%いるかいないかだと思います。私はその2%を引き当てたのでした。
専門学校めぐり
通学していた日本大学経済学部は水道橋にありました。水道橋は会計の専門学校のメッカの街です。
大原簿記学校
TAC
LEC
と言った専門学校がひしめき合っています。会計系の資格を目指すには最高の環境と言っていい町でした。
私と橋本さんは、希望を胸にこれらの専門学校を回りました。各専門学校をめぐると、電卓を片手に勉強に打ち込む学生がたくさんいました。こんな世界があるのかと大きな刺激になります。
専門学校めぐりをしていると、会計系の資格には、
公認会計士
税理士
簿記1級
などがあることがわかってきました。
会計士を目指す3つの理由
最終的に私も橋本さんも公認会計士を目指すことにしました。その理由は3つあります。
1つ目の理由は、科目への興味です。公認会計士の試験科目は単純に面白そうでした。「簿記」「原価計算」「経営学」「経済学」「商法」「監査論」「財務諸表論」これらの科目を見るとワクワクしました。将来起業するという目標(妄想)を持っていた私にとって、経営者としての土台を創るために勉強になると感じました。
2つ目の理由は、学歴コンプレックスを帳消しにできる気がした点です。日大だろうが、法政大学だろうが、明星大学だろうが、会計士を取得してしまえば、学歴を帳消しにできます。それぐらい破壊力のある資格と感じました。
3つ目の理由は、コミュ障の隠れ蓑になることです。私はせっかく大学生になったにも関わらず、「日大生かつコミュ障」という、なんともさえない肩書で苦しんでいました。しかし、「会計士を目指している」という新しい肩書が加わることで、「日大生かつコミュ障」というネガティブワードを中和することができたのです。
「今何してるの?」
↓
「会計士目指しているよ」
このコンビネーションをしばらく使えるのはとても魅力的でした。
毘沙門天のスネを噛じる
このような複雑な事情が絡み合い、私と彼女は、大学2年の夏から公認会計士の2年本科生として勉強を始めることにしました。しかし、公認会計士は独学で合格するのはほぼ不可能な試験です。専門学校に通うお金が必要でした。そこで、おそろしい毘沙門天(毘沙門天についてのブログはこちら)に金の算段をしました。
相変わらず毘沙門天は恐ろしい形相でしたが、思いの外、好感触でした。ほとんど議論することなく専門学校代を出してくれることになりました。
私は、麻雀代、専門学校代、大学の学費と毘沙門天のスネをかじり続けました。しかし、大手の会社に勤める毘沙門天のスネは思いの外頑丈で、まだまだ噛じることができそうでした。
こうして私は彼女とともに、専門学校の扉を叩きました。しかし、会計士の受験生活で、私は自分の能力の無さを突き付けられることになるのです。
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・川島達史 1981年生まれ
・社交不安症専門カウンセラー
・公認心理師 精神保健福祉士
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