社交不安改善コラム

対人恐怖症克服記57 重度の対人恐怖症であると自覚する

中学3年生の頃から対人恐怖が徐々に悪化し、大学を卒業したころには、重症化し私は就職活動もせず、引きこもりになっていました。そして生きるか死ぬかまで追い詰められました。

その後、哲学の力を借り、「人生に与えられた意味はなく、自分は自分の人生を自由に歩んでよい」という確信を得て、ようやく私は自分の心を回復させる段階に進めるようになりました。

そして私は、哲学の勉強に一区切りをつけ、心理療法の勉強をはじめることになったのです。

 

たどり着いた病名

当時の私は自分がうつ病なのではないか?と思っていました。というのも私は「心の病=うつ病」ぐらいの知識しかなかったからです。しかし、心理療法に関する勉強を進めるにつれて、心の病気には様々なものがあることがわかりました。

双極性障害、統合失調症、強迫神経症、人格障害、発達障害・・・はじめて聞くものです。へえ~心の病気はうつ病だけではないんだな・・・私は心の病気について興味を覚えました。そして勉強を進めていくと、全身に電流が走る病名を見つけました。

その病名は
社会不安障害
でした。

社会不安障害は以下のような病気と書かれていました。

人前で注目が集まる状況で、強い不安や恐怖、緊張を感じ、失敗して恥をかくのではないかと感じる。人がいる場所や会話をする場面を回避する。

病気の解説は自分の症状と100%一致していました。会ったこともない人が自分の深層心理を言い当てているような感覚になりました。

 

重度の対人恐怖判定

さらに対人恐怖症を解説している本の中には、LSAS-Jという症状の重さをチェックするシートがありました。採点基準は以下のようになっていました。

30 点前後  健康
50 点~70 点  中程度の社会不安
80 点~90 点 中程度~重度の社会不安
90点以上   重度の社会不安

試してみると、私の点数は、90点を超えていました。そして私は確信しました。

そうか!自分は社会不安障害という病気だったのか。それも重度の!

長年の疑問が一気に解けた気がしました。病名がわかったことで肩の荷が降りた感覚がありました。

それまで私は自分が異常で、社会的に孤立し、疎外感を覚えていました。しかし、病名がつくぐらいなので、同じ病気に悩む方がこれまでたくさんいたのです。

 

対人恐怖を調べ上げる

私は、社会不安障害という病名を知ると、堰を切ったようにネットで検索したり、関連書籍を買うようになりました。すると、とても歴史が長い心の病気であることもわかりました。

古くは1900年代の初頭に、中村古峡や森田正馬が「対人恐怖」という病名で治療をはじめたこともわかりました。100年近く前から、人が怖いという心の病気で悩む人がたくさんいたのです。

また、社会不安障害は主に人の目が気になる思春期に発症して、すぐに精神科を受診することはなく、成人してからようやく受診することが多い病気のようでした。

私は中学3年生の頃から人が怖くなり、会話場面を避け始めました。さらには、自分がまさか心の病気になっていることに気が付かず、ずるずると治療を遅らせていたのです。

私は、8年近く悩んだ心の病気の答え合わせをするように、対人恐怖に関する自己理解を深めていきました。

 

対人恐怖を調べ上げる

対人恐怖は様々な治療法があることがわかりました。認知療法、行動療法、森田療法、ゲシュタルト療法、自律訓練法、ソーシャルスキルトレーニング・・・これまで対人恐怖を治す手がかりが全くなかったので、その道具があることに希望を覚えました。

ただし、どのやり方が効果があるのかわからなかったので、片っ端から試してみることにしました。そこでまずは、どの本にも共通している、認知行動療法という心理療法から取り組んでみることにしました。この認知行動療法は、私の心を大きく変化させ、引きこもり脱却の最初のきっかけになるのです。

 

 

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・川島達史 1981年生まれ
・社交不安症専門カウンセラー
・公認心理師 精神保健福祉士
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