社交不安改善コラム

対人恐怖症克服記9 ポケベルでのやり取り

私は高校1年生の冬に、女子高生から連絡先が書かれた手紙をもらいました。そこには女子高生らしい丸っこい文字でポケベルの番号が書いてありました。

生まれて初めて女子の甘さに触れた私は桃源郷にいるような気持ちになりました。ふわふわした面持ちで、地に足がついていない感じになっていました。

学校につくと、何度も手紙を見直し、ほくそ笑んでいました。授業内容は一ミリも頭の中に入ってきませんでした。

 

大魚を逃してはならない

時間が経ち、落ち着いてくると、2度とこんな僥倖はない!と確信していきました。

私はとてもではないですが、容姿で勝負できるほど優れた外見ではありません。赤ら顔、ニキビが多い、印象に残らない顔、髪質が悪い・・・間違いなくイケメンではないのです。

こんなにかわいい子から手紙をもらう奇跡は人生で最初で最後だと既に悟っていたのです。

(43歳になった今、それがあたっていたことを書きながら感じています!!)

私は最初で最後の大魚を逃してはならん!と考えポケベルの返信文をひたすら考えていました。

返信をする

私は授業を一切聞かず、6時間かけて返信文を作りました。がっつかず、かといってそっけない感じでもない、絶妙の文章を目指しました。

 

そして帰宅後、ポケベルに返信をしました。

キョウハアリガトウ
ボクノナマエハ タツシデス
コウコウイチネンセイダヨ

そうして1時間もするとすぐに返信がありました。

テガミ ヨンデクレタンダネ ウレシイヨ
ワタシハ コウコウ ニネンセイダヨ

アスカ

生まれて初めて女子からメッセージをもらい、私はポケベルと言うすばらしい機械を作ってくれたNTTドコモに敬礼をするのでありました。

新たな悩み

それ以来、アスカさんとは1日2往復ぐらいやり取りするようになりました。嬉しい反面、ある新しい悩みの種が出てきました。それは朝の通学路で視線を感じるという点でした。

朝の通学路にはアスカさんがどこかにいる可能性があります。気が気ではないのです。女子高生とすれ違うたびに

赤くなっていないか
不細工な顔をしていないか
がっかりされないだろうか

とびくびくしなくてはなりません。

朝から鏡と向き合う時間が増え、私は自分の顔の隅々を観察し続けました。そうしてどんどんあら捜しするようになっていくのです。

 

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・川島達史 1981年生まれ

・公認心理師 精神保健福祉士 心理学大学院修了
・社交不安症専門カウンセラー
・ご相談はこちらからお待ちしています
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