重度の対人恐怖症になり、引きこもりとなった私は、心理療法を実践し、いくばくか心が整理されていきました。
そして、コンビニや大型書店に行って、店員さんと軽くやりとりするぐらいまでは回復することができました。
餓鬼のような容姿
ある程度、行動範囲は広がったものの、私は以前として重大な問題を抱えていました。
それは容姿のコンプレックスです。
長引く不健康な生活で、体重は80キロ近くになっていました。運動を全くしていなかったので、腕が細く、腹だけに脂肪が溜まっているような異様な体形になっていました。
顔もげっそりとしていて、まるで餓鬼のようです。鏡を見るたびに深く落ち込んでいました。
そのため、外に出て店員さんと接するときに、「仕事とは言え、こんな餓鬼のような人間と話さざるを得ず、申し訳ない」という感覚がありました。
特に相手が女性店員だと、その感覚は強く、笑顔を向けられても、「この笑顔の裏側はきっと僕を気持ち悪いと思っているに違いない・・・」と考えていました。
私は、まずはこの忌々しい、体型を整えないと前に進めないと感じ始めました。そしてついに、会計士試験で積み重ねた怠惰な罪(脂肪)を落とす決意を固めたのです。
ダイエット生活
私が実施したダイエットは「タンメン&屋根裏部屋-サウナ」です。
タンメンダイエット
タンメンはカロリーが350程度と低カロリーで、野菜がたっぷり取れるというメリットがありました。
キャベツを山盛り切り刻んで、少々の豚肉と一緒に炒め、タンメンにぶち込むと、2人前ぐらいのボリュームになります。お腹いっぱいになりますし、栄養をしっかり取ることができました。
屋根裏‐サウナ
部屋は屋根裏部屋で、三階にありました。夏は一日中、直射日光があたるのでとても暑いのです。
本当に熱く、天井を触ると、熱せられたヤカンのようにカンカンに熱くなっていました。体感で45度はあったと思います。
朝の7時ぐらいからジリジリとした日光が屋根裏部屋を照らし始め、嫌な暑さが部屋を満たしていきます。
同時に汗が体中から吹き出していきます。汗をたっぷりかくとと、シャワーを浴びます。汗を洗い流すと、長年たまった心の垢も落ちるような気がしました。
見た目に真人間に
私は日中、この作業を何度も繰り返しました。健康的と言えるダイエットではなかったですが、往復するたびに体重が減っていくので面白くてしょうがありませんでした。
ダイエット生活は順調に進み、最終的に、3ヶ月で80キロから60キロまで減量することができました。
溜まりにたまってたおなかの肉は落ち、かなりスマートな体形になりました。太っていた時に伸びた腹の皮を完全に引き締めることはできなかったですが、洋服を着れば一般的な健康的な男子に見えます。
自信を持つところまでは行かなかったですが、この容姿ならどうにか、不快感は与えないで済むだろう・・・という感覚になることができました。餓鬼から人間に戻ることができたことに安堵しました。
会計士試験はいくら努力しても結果が出ませんでしたが、ダイエットで結果が出たことには少なからず、自信を持つことができました。
突然の来訪者
そんな心理療法とダイエット生活を続けていたある日のことです。
真昼間に呼び鈴がなりました。1度呼び鈴がなっても、当然私はシカトしました。引きこもりになってから1度も来訪者に対応することがなかったので、当然の行為でした。
しかし、その日の来訪者は異常でした。何度も何度も呼び鈴がなり、私は怖くなってきました。そしてその主を確認し、衝撃を受けることになるのです。
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・川島達史 1981年生まれ
・社交不安症専門カウンセラー
・公認心理師 精神保健福祉士
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